チョコレートのこと [環境・食の裏側]
バレンタインデーの前に書きたかった記事です。
私が若い頃もバレンタインでーには女の子が男の子にチョコレートをあげるということはあって、何を隠そう、先取りするのが好きだった私はすでに小学生の頃にプレゼントしていました。 でも、それは一部の人がそうしていただけで、誰でもかれでもそうしていたわけではありませんでした。
ところが、21年日本を離れて帰ってくると、まるで、それは昔から行われていたかのように、女の子達だれもがチョコレートをプレゼントする日になっていました。
帰ってきたのがちょうどそんな時期だったこともあり、二人の娘たちはそれが日本で暮らす洗礼のように、チョコ作りにいそしみ、当日はお友達からも たくさんのチョコをもらって 喜んで帰ってきました。
おとといもガーナチョコをた~くさん抱えて帰ってきて、夜中遅くまでお友達といっしょにチョコレート作りをしていました。 そんなかわいらしい楽しみを、温かく見守ってあげたいと思い、たまに作り方の助言をはさむだけにして うんちくめいたことは一切言わずにいました。
でも実はこの日本のバレンタインデー行事には帰国以来、違和感を持ち続けています。 日本に古くから伝わる行事でもないバレンタインデーを その由来のある国での祝われ方とは異なったことをしている、それが世の中のために役立っていることならまだいいのですが、チョコレート商戦にのせられているだけだと思えるからです。
シンガポールではバレンタインデーは多くの人にお祝いされていました。 世界各国の人が生活しているコスモポリタンな国なので、いろいろな行事をお祝いするのです。
実はそのたくさんの行事の中でも、バレンタインデーは私の一番のお気に入りだったのです。 なぜかというと、幼稚園の頃から、子供たちは必ず手作りのハート型のカードをプレゼントしてくれていたのです。 仕事を夜遅く終えて帰ってくると私の机の上にはカードがのっかっていて そこにはつたない字で 「I love you, mommy ! 」などと書かれていて、(家では日本語で会話していたのですが、文字は英語から覚えていった子供たちです。) 私を泣かせてくれました。
シンガポールでは、バレンタインデーは家族や恋人たちが愛を確認しあう日なんです。 カードやお花を贈りあったり、外で家族でお食事をしたりします。 新聞は愛のメッセージを掲載するために特別版を出すんですよ!
大好きだったもうひとつの理由は、営んでいたレストランが、1年で1番、繁盛したからです。 私はバレンタインデーに家族がそろってお食事する光景を見るのが大好きでした。 ハートがレストラン内に充満しているようで、そこにいるだけで、本当に幸せな気分になることができたのです。 自分も幸せな気分になることができる上に、お客様に家族愛の確認をできる場をこんな風に提供できるなんて幸せ!と二重の幸せをかみしめたりしていました。 そして家に帰ってくると、先ほども書いた子供たちからのカード、「愛」というものを感じづくめの温かい一日だったのです。
チョコレートでもちきりの日本のバレンタインデーが近づくと、その頃のバレンタインデーがとても懐かしくなります。
と、話はバレンタインデーに飛び交う、チョコレートのことに戻ります。
チョコレートという食べ物がどのようにして作られているか思いを馳せてみたことはありますか。 加工食品を 毎日のように使用している私たちですが、それが何を使用してどのようにしてそのような製品になったかということに、私たちはあまりにも無頓着すぎると思うのです。 物事の事実は、特に私たちが日常的にいただいている食物のことは知るべきだと 私は思います。
チョコレートに関してもしかりです。 こんなに世界中の人々を虜にしてしまっている食べ物ですが、チョコレートに必要不可欠のカカオ豆はそれを大量消費している国では生産できません。 コートジボワール、ガーナなどの西アフリカの国々がカカオ豆総生産量の7割ほどを生産しています。
それらの国ではカカオは大事な産業ですから多くの人手が、それも安い人手が必要となります。 多くの子供たち、それも奴隷として買い取られた子供たちが、ひどい環境の下、ただ働きさせられているという事実も存在するのです。
カカオの木に登って実を切り取ることも、取ったカカオを斧のようなナイフで割ることも、農薬散布することも 危険を伴なう作業なんです。
そんな子供たちはチョコレートなど食べたこともなく、みんな悲しい目をしています。 そりゃあそうです。 家族から離されて知らない土地に連れて行かれたことだけでも子供にとっては不安でいっぱいなのに、強制的に危険な仕事をさせられて、逃げることも許されないなんて、そんな不幸なことはありません。
普通のチョコレートは安すぎます。 娘が買ってきたガーナチョコ、あんなに大きいのにたったの80円なのだそうです。 子供の頃、(40年以上前です。)チョコレートが大好きでそんなことは露とも知らずに、毎日食べていたガーナチョコ、もっと小さかったですけど50円でした。 その頃と比べて物価は5倍くらいになっているんじゃないかと思うのですが、より多くのチョコレートを消費しているはずなのに、この安さ、原産国は、いかに低賃金で大量生産させられているかというのが、この身近な数字を見てもわかります。
こちらのサイト(英語)と こちらのサイト(日本語)でチョコレートの裏側の実態を見ることができます。
自分の身近で 自分の目で 子供たちがそんな危険な作業をしてカカオ豆を取っているのを見たら、単純に「おいしいんだもん!」と言ってチョコレートをほおばることはできないはずです。
そんな事実があるからこそ、最近では それなりの対価を払ってカカオを購入して、子供たちの犠牲を減らし、産出国の利益につながるような公正な取引をしようとフェアトレードのチョコレートが生産されるようになりました。 ですから、どうしてもチョコレートを食べたくなってしまったら、フェアトレードのチョコレートを購入するようにしてみませんか!
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